「広いだけが正解じゃない」。団地が生んだ「2DK」や「3K」といったコンパクトな間取りは、かつての核家族の理想形でした。水洗トイレやダイニングキッチン(DK)という最先端の機能が詰まったこの規格は、半世紀を経た今、なぜか現代の多様なライフスタイルと驚くほど高い親和性があるのです。

間取りの黄金比を読み解くーー実は壁をなくしやすい構造

団地型の住戸は、限られた面積で最大限の快適性を追求した合理的設計の結晶です。その特徴は、縦に並ぶ部屋、コンパクトなDK、そして豊富な押入れ収納。この「四角い箱」の設計は、すべての部屋に採光と通風を確保し、効率的な生活動線を実現しました。

しかし、団地の間取りがリノベーション市場で特に評価される最大の理由は、壁を取り払うことのできる融通性の高さにあります。多くの団地は、壁式構造と言って、柱や梁を使わず、壁と床といった「面」で建物を支える構造になっています特に2DK/3Kはコンパクトゆえに構造体がシンプル。既存の壁を大胆になくし、住戸内をスケルトン(骨組みだけ)の状態にすることが可能な住戸も多いのです。この構造的な自由度の高さこそが、団地リノベーションの大きなポテンシャルとなっています。*注)団地各々の構造や間取りにより壁の除去が可能かどうかは、事前の確認が必要です


スケルトンで「動線を再構築」ーー団地の構造美を活かす

「非構造壁」を取り除くこともできるという構造的特性は、リノベーションの可能性を無限に広げます。既存の動線を活かす部分リノベはもちろん、大胆なスケルトン化によって、新築では難しい自由な空間設計が可能です。例えば、既存の和室やDKを隔てていた非構造壁をすべて取り払い、光と風が抜けるような広大なLDK中心のワンルームを創造することで、コンパクトな団地でも体感的な広さが大幅にアップします。また、スケルトン化の際は、コンクリートの躯体をあえて露出させる「打ちっぱなし」の意匠を取り入れると、団地ならではの無骨で美しい建築デザインが際立つことも。

玄関や水回りなど固定された動線は活かしつつ、リビングや寝室の位置を自由に設計でき、住人の生活習慣に合わせた最適な動線をゼロベースで作り直すことができます。テレワーカーが仕事と生活を分ける空間を確保したり、子育て世代が家族の成長に合わせて部屋を柔軟に使えるようにしたりと、自由自在です。奥行きのある押入れのスペースをワークコーナーとしてリノベする事例も多く見かけます。

団地の間取りは「古い」のではなく、むしろ「完成された機能美」を持つストックです。そして、その構造は「壁の制限から解放された、自分らしい暮らし」を実現できるリノベーションの自由度を内包しています。現代の知恵を加えれば、新築にはないコストメリットと、あなただけの理想の住まいを手に入れることができるポテンシャルが、この黄金比の間取り=団地というハコに秘められているのです。

written by ENJOYWORKS TIMES/Tomoko Sato